大きな地震が起こると自宅の倒壊の被害を思い浮かべがちですが、家具が転倒する、家具の中身が飛び出してくるなどの危険性もあります。地震での被害を最小限に抑えられるよう、家具の転倒や中身の飛び出しを防ぐ方法や、おすすめのグッズを紹介します。
家具の転倒防止対策
地震が発生した際、家具の転倒は大きな危険をもたらします。家具の下敷きになってケガをしたり、避難経路を塞いでしまう可能性があります。そのため、家具の転倒防止対策は非常に重要です。
L型金具による固定
L型金具は、家具と壁をしっかりと固定する効果的な方法です。家具の上部と壁をL字型の金具で連結します。取り付け方は簡単です。まず、家具の上部に金具を取り付けます。次に、壁に金具を固定します。最後に、両方の金具をボルトで連結します。
L型金具の利点は、強度が高く、確実に家具を固定できることです。ただし、賃貸住宅の場合は、壁に穴を開けることができないため、使用が難しい場合があります。その場合は、次に紹介する方法を検討してみましょう。

突っ張り棒(ポール式器具)の活用
突っ張り棒は、壁に穴を開けずに家具を固定できる便利なアイテムです。家具の上部と天井の間に設置します。使い方は簡単です。まず、家具の上部に突っ張り棒を立てます。次に、天井に向かって伸ばし、しっかりと固定します。
突っ張り棒の利点は、取り付けが簡単で、賃貸住宅でも使用できることです。ただし、天井の強度によっては効果が限定的な場合があります。そのため、次に紹介する耐震マットと併用することをおすすめします。

耐震マットの使用
耐震マットは、家具の底面に敷くことで、地震の揺れによる移動を防ぐアイテムです。粘着性のあるゲル状のマットで、家具と床をしっかりと密着させます。使い方は非常に簡単です。家具を少し持ち上げ、底面にマットを敷くだけです。
耐震マットの利点は、取り付けが簡単で、どんな家具にも使用できることです。また、床を傷つける心配もありません。ただし、大きな地震の場合、マットだけでは不十分な場合があります。そのため、前述の方法と組み合わせて使用することをおすすめします。
家具の中身の飛び出し防止策
地震の揺れにより、家具の中身が飛び出してくることも大きな危険です。特に、食器棚や本棚の中身が飛び出すと、ケガの原因になったり、避難の妨げになったりします。そのため、中身の飛び出し防止策も重要です。
耐震ラッチの取り付け
耐震ラッチは、家具の扉が開かないようにするための器具です。地震の揺れで扉が開いても、中身が飛び出すのを防ぎます。取り付け方は比較的簡単です。まず、扉の内側にラッチを取り付けます。次に、扉が閉まる側の枠にストライカーと呼ばれる金具を取り付けます。
耐震ラッチの利点は、確実に扉の開放を防げることです。ただし、日常的に扉の開閉をする際に、毎回ラッチを外す必要があるため、少し手間がかかります。頻繁に使用する家具には不向きかもしれません。
滑り止めマットの活用
滑り止めマットは、家具の棚板に敷くことで、中身の滑りや移動を防ぐアイテムです。特に、食器棚や本棚の中身を固定するのに効果的です。使い方は非常に簡単です。棚板の上にマットを敷き、その上に食器や本を置くだけです。
滑り止めマットの利点は、取り付けが簡単で、どんな家具にも使用できることです。また、日常的な使用にも支障がありません。ただし、大きな地震の場合、マットだけでは不十分な場合があります。そのため、次に紹介する方法と組み合わせて使用することをおすすめします。
扉開放防止器具の設置
扉開放防止器具は、地震の揺れで扉が開くのを防ぐアイテムです。扉と枠の間に取り付けます。使い方は簡単です。扉と枠の間に器具を挟み込むだけです。多くの製品は粘着テープで固定するタイプなので、工具は必要ありません。
扉開放防止器具の利点は、取り付けが簡単で、賃貸住宅でも使用できることです。また、日常的な使用にもほとんど支障がありません。ただし、強い衝撃には耐えられない場合があるので、前述の方法と組み合わせて使用することをおすすめします。
DIYで始める地震対策:初心者向け簡単テクニック
地震対策グッズを購入するだけでなく、自分で作ることもできます。DIYで地震対策を始めることで、コストを抑えつつ、自分の家に合った対策を講じることができます。ここでは、初心者でも簡単にできるDIYの地震対策テクニックを紹介します。
自作の転倒防止アイテム
自作の転倒防止アイテムとして、簡単に作れるのが「ブックエンド式ストッパー」です。材料は100円ショップで手に入る本立てと滑り止めマットだけです。作り方は簡単です。まず、本立ての底面に滑り止めマットを貼り付けます。次に、家具の前面下部に本立てを設置します。これにより、家具が前に倒れるのを防ぐことができます。
また、「段ボール製の突っ張り棒」も簡単に作れます。材料は段ボールと新聞紙です。段ボールを筒状に丸め、中に新聞紙を詰めて強度を高めます。これを家具の上部と天井の間に設置します。コストはほとんどかかりませんが、ある程度の効果が期待できます。
メリットと注意点
DIYで地震対策を行うメリットは、コストを抑えられることと、自分の家に合わせたカスタマイズが可能なことです。また、作業を通じて防災意識が高まるという副次的な効果もあります。
一方で、注意点もあります。DIYの対策は、市販の製品に比べて強度が劣る場合があります。そのため、大きな地震には耐えられない可能性があります。また、正しく設置しないと効果が発揮されないばかりか、かえって危険になることもあります。
費用の目安
DIYで地震対策を行う場合、費用はかなり抑えられます。例えば、前述の「ブックエンド式ストッパー」の場合、材料費は300円程度で済みます。「段ボール製の突っ張り棒」に至っては、ほぼ無料で作ることができます。
ただし、より確実な対策を講じたい場合は、市販の製品と組み合わせることをおすすめします。その場合でも、DIYと市販品を組み合わせることで、全体的なコストを抑えることができます。
100均で揃える地震対策グッズ
地震対策グッズは、必ずしも高価なものである必要はありません。100円ショップでも十分な効果を発揮するアイテムが多数販売されています。ここでは、ダイソーとセリアで購入できるおすすめの地震対策グッズを紹介します。
ダイソーのおすすめ商品
ダイソーでは、様々な地震対策グッズが販売されています。中でもおすすめなのが「耐震ジェル」です。これは、家具や家電の底面に貼り付けることで、滑りや移動を防ぐアイテムです。透明なので目立たず、取り外しも簡単です。
また、「家具転倒防止板」も効果的です。これは、家具の下に差し込むことで、家具を壁側に傾けて転倒を防ぐアイテムです。取り付けは非常に簡単で、工具も必要ありません。
さらに、「ガラス飛散防止フィルム」も忘れずに購入しましょう。窓ガラスや食器棚のガラスに貼ることで、地震でガラスが割れても破片が飛び散るのを防ぎます。
セリアの使える防災アイテム
セリアでも、多くの防災アイテムが販売されています。特におすすめなのが「突っ張り棒用アタッチメント」です。これは、通常の突っ張り棒の効果を高めるアイテムです。突っ張り棒の端に取り付けることで、より強力に家具を固定することができます。
また、「滑り止めシート」も便利です。これは、棚板や引き出しの中に敷くことで、中身の滑りや移動を防ぎます。食器棚や本棚に使用すると効果的です。
「ドア用ストッパー」も忘れずに購入しましょう。これは、地震の揺れでドアが開閉するのを防ぐアイテムです。避難経路の確保に役立ちます。
家具別の地震対策
家具の種類によって、最適な地震対策は異なります。ここでは、代表的な家具について、それぞれに適した対策方法を紹介します。
本棚の転倒・落下防止
本棚は、重い本が多数収納されているため、転倒すると非常に危険です。まず、L型金具で壁に固定することが基本です。壁に穴を開けられない場合は、突っ張り棒と耐震マットを併用しましょう。
本の落下防止には、本棚の前面に透明な板やアクリル板を取り付けるのが効果的です。また、棚板には滑り止めシートを敷き、本が滑り出すのを防ぎます。
さらに、重い本は下段に、軽い本は上段に配置するなど、重心を低くする工夫も大切です。
食器棚の安全対策
食器棚は、中身が割れやすいものばかりなので、特に注意が必要です。まず、本棚と同様にL型金具での固定が基本です。さらに、扉には耐震ラッチを取り付け、地震の揺れで開かないようにします。
棚板には滑り止めシートを敷き、食器の滑りを防ぎます。また、食器と食器の間にクッション材を挟むことで、揺れによる接触を防ぐこともできます。
ガラス扉には飛散防止フィルムを貼り、万が一割れても破片が飛び散らないようにしましょう。
テレビの固定方法
テレビは重心が高く、転倒しやすい家電です。まず、テレビ台との固定が重要です。専用の固定ベルトを使用するのが一般的ですが、強力両面テープでも代用できます。
テレビ台自体も固定する必要があります。壁に固定できない場合は、耐震マットを使用しましょう。また、テレビ台の上に置く場合は、なるべく低い位置に設置することが大切です。
壁掛けテレビの場合は、取り付け金具の強度を確認し、必要に応じて補強します。また、配線類もしっかりと固定し、揺れで引っ張られないようにしましょう。
プロに依頼する場合の注意点
家具の転倒防止対策を自分で行うのが難しい場合や、より確実な対策を講じたい場合は、プロに依頼することも選択肢の一つです。しかし、プロに依頼する際にも注意すべき点があります。
業者選びのポイント
信頼できる業者を選ぶことが重要です。以下のポイントに注意して業者を選びましょう。
- 防災関連の資格や実績を持つ業者を選ぶ
- 複数の業者から見積もりを取り、比較検討する
- 口コミや評判を確認する
- 作業内容や使用する材料について詳しく説明してくれる業者を選ぶ
- アフターサービスの内容を確認する
概算費用
プロに依頼する場合の費用は、家具の数や種類、使用する固定具の種類によって異なります。一般的な目安として、以下のような費用が考えられます。
- 1点あたりの固定作業:3,000円〜10,000円程度
- 4LDKの一般的な家庭の場合:50,000円〜150,000円程度
ただし、これはあくまで目安であり、実際の費用は現場の状況や業者によって大きく異なる場合があります。必ず複数の業者から見積もりを取り、内容をよく確認しましょう。
まとめ:効果的な地震対策のポイント
家具の転倒や中身の飛び出しを防ぐ地震対策は、命を守るために非常に重要です。以下のポイントを押さえて、効果的な対策を行いましょう。
- 家具のレイアウトを工夫し、できるだけ部屋にものを置かない
- 重たいものは低い位置に置く
- 家具に合わせた適切な固定方法を選ぶ
- DIYで対策する場合は、正しい取り付け方法を確認する
- 100均グッズも活用しつつ、重要な箇所は信頼性の高い製品を使用する
- 定期的に固定具の状態を確認し、必要に応じて交換や補強を行う
これらの対策を組み合わせることで、地震による被害を最小限に抑えることができます。自分や家族の命を守るため、今日からできる対策から始めていきましょう。
