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スカーフェイス 作品情報

フランシス・コッポラ監督の名作「ゴッドファーザー」で一躍スターダムに躍り出たアルパチーノ主演のアメリカのギャング映画。１９８３年公開。監督はブライアン・デ・パルマ。 アルパチーノ扮するキューバから流れてきた難民トニーモンタナが同じキューバ人仲間とフロリダの暗黒街でノシ上がり破滅していく姿が描かれています。 失うものが何もない若き青年が暴力とカネの力でトップマフィアに昇りつめていく姿は一種のサクセスストーリーの要素も併せ持ち、当時の黒人やプエルトリカン等の移民系アメリカ人貧困層に熱烈な支持を受けました。 脚本は後のベトナム戦争映画、「プラトーン」で有名になったオリバー・ストーン。 映画の中で流れるジョルジオ・モルダーの重厚で軽快な音楽が、トニー・モンタナの野望にリズムとテンポを与えています。

スカーフェイス キャスト・スタッフ

スカーフェイス あらすじ

キューバで反カストロ、反共産主義者の烙印を押されたトニー・モンタナはボートピープルとしてフロリダのマイアミに流れ着き、コカインの密売を皮切りに暗黒街でメキメキと頭角を表していきます。 そして、遂には自分のボスでもあるマイアミ暗黒街のトップボス、フランクを殺害して誰もが恐れるマイアミ屈指のギャングとして君臨。 トニーの野望はとどまるところを知らず、かねてから親交のあったコロンビアの麻薬王ソーサと組んで大きな麻薬ビジネスを始め巨万の富を築きます。しかし、ソーサとの蜜月も束の間。 あるジャーナリストを暗殺するためソーサによって送り込まれた殺し屋をトニーが衝動的に銃殺したことでソーサは大激怒。トニーを殺すべく大規模な暗殺団をマイアミに送り込みます。 絶望的な最後の戦いに果敢に挑むトニー。血を血で洗う最後の抗争がトニーの要塞のような豪邸で繰り広げられます。

スカーフェイス 評価

各映画レビューサイトから「スカーフェイス 」の評価を集めました。

スカーフェイス 見どころ

ドロドロした過激なバイオレンスシーン

この映画の見どころは何と言ってもドロドロ、コテコテ、原色のバイオレンスシーンとその多さです。さしづめ日本で言えば関西風ヤクザ映画とでもいいましょうか。 トニーと仲間が敵対するコロンビアギャングに捕まり、電動ノコギリで切り刻まれ血しぶきが飛び散るシーンやヘリコプターで上空から首を吊るされ処刑されるシーンは見ていて目をそむけたくなります。 またトニーが自分のボスや警官をいたぶりながら射殺するシーンや、コカインでイッてコロンビアマフィアと激しい銃撃戦を演じ、果ては小型ミサイルまでブッ放すシーンには驚愕。 胸クソ悪さはハンパありません。 中南米色の強い原色系本能、欲望ムキ出しのバイオレンスシーンの数々には度肝をぬかれます。

フロリダ・マイアミの南国的魅力

映画の舞台はアメリカの南部、フロリダです。 州都マイアミはキューバに近く、中南米的な異国情緒、南国情緒に満ち溢れた街です。 晴れわたる青空と乾いた天気、青々とした海、ヤシの木、ビーチをビキニ姿で歩くスタイル抜群の美女たち。 スクリーンに映し出される建物や部屋の作りもどこかスパニッシュ系です。アメリカであっても日本人が思うような北米的要素は全く見当たりません。 暑く異国的、開放的なマイアミで暴力とカネの力で暗黒街の階段を駆け上がる貧しいキューバ人難民トニー・モンタナ。この男のムキ出しの野望と欲望がこの街では映えます。 陰性でドロドロコテコテのギャング映画ですが、ある種の明るさと爽やかさがあるのは、マイアミが舞台になっているからです。

トニーと恋人エルヴィラのロマンス

無教養で粗雑、知性のカケラもない乱暴者トニーですが、人なみに恋をします。 とはいっても、恋愛映画で見られるような確かな愛情に根ざしたロマンチックでホノボノしたものではありません。 二人を結び付けているのは、トニーが持つ金の力と権力だけです。エルヴィラはかつてのトニーのボスであるフランクの情婦。彼女を一目見た時からトニーはその美しさに心を動かされます。 トニーはフランクを殺し、エルヴィラを自分のモノにしますが女心の繊細さも、心のヒダも分からず、エルヴィラをただカネで引きつけてコカイン漬けにするだけです。 そして、エルヴィラもトニーとの荒廃した生活にだんだん失望し、カネとコカインを与える以外に愛情表現を知らないトニーに愛想を尽かし、トニーの元から去ってしまいます。 心の拠り所を失ったトニーの行動、言動は次第に常軌を逸し、破滅へ向かって突き進んでいきます。

スカーフェイス 感想・レビュー

トニーは男の美学の体現者

社会の底辺から自分だけを頼りに暗黒街でのし上がり、自分の信念に殉じるトニーは、間違いなくダーティーヒーローです。 超がつくほどの自己チューで傲慢強欲、欲しい物があればどんなド汚いテを使ってでも必ず手に入れないと気がすみません。人間としては最低最悪です。だれもこんなヤツと付き合いたいとは思わないでしょう。トニーもそれを自覚しているからこそ、カネと暴力にどんどんノメリこんで行きます。 しかし、彼は最低最悪の人間ですが勇敢な男です。 自らの間違った信念にしたがってどんどん危険と不可能に挑んでいきます。 そして自分なりのモラルも持っています。 「この俺様が女子供を殺ることなんて絶対できねー。」 結果としてその一片の優しさが彼の命とりになってしまうのですが、そんなことは全然意に介しません。 「男はタフでなければ生きていけない。優しくなければ生きる資格がない。」 チャンドラーの名言を地でいくトニーにはシビレ泣けてきます。

下品さとお下劣さを徹底的に追求したアルバチーノの演技

主演アルバチーノが非情で孤独、無教養で下品なトニーを見事に演じきっています。 「ゴッドファーザー」で見せた知的で寡黙なインテリマフフィア「マイケル」とは真逆のキャラクターなので、演技だけを見ているととても同じ俳優とは思えません。 マイケルは話す言葉も慎重で内容も示唆に富んだトークが多いのですが、トニーが吐く言葉は「ファック」のオンパレードです。 挙動不審のギラギラした目つき、原色を中心にした派手でセンスのない服装。 机の上にコカインを山のようにブチまけ、そこに顔をうずめ悦に入る表情。 お下劣さと下品さではどれをとっても一級品の演技力です。 さすが、ロバートデニーロと並ぶマフィア映画界の大御所です。

剣によって立つ者は結局、剣によって滅ぶ

マフィア映画やギャング映画などのバイオレンスをテーマにした映画の根底には「剣で立つ者は剣で滅ぶ」というキリスト教的メッセージが根底にあると私は思っています。 私が今まで見た限りではハッピーエンドは一つもありませんでしたし、この映画もラストは壮烈な悲劇です。 これはもうキリスト教世界観の決まりごと、暗黙知なのでしょう。 映画のラストシーンでトニーが作った「THE WORLD IS YOURS（世界はあなたのもの）」という言葉に対比させるかのように映し出されるトニーの哀れな姿に、この映画の逆説と皮肉が 全て込められています。諸行無常、因果報応と思わずにはいられません。

スカーフェイス SNSでの評判は？

Twitterから「スカーフェイス」の評判をまとめました。

【まとめ】スカーフェイスの動画を無料で見るなら

３時間弱の長編映画ですが、アドレナリン満開のバイオレンス映画です。 マフィア映画、ギャング映画というよりもフルスロットル・バイオレンス映画です。 徒手空拳の貧しい青年が、己の力だけを頼りにノシ上がっていく姿は健全な男だったら誰しも一度は憧れる生き方です。 トニーの激しくもはかなく、あっけない最終章は英雄的で破滅的なので爽快感があり、ホレボレしてしまいます。 公開当時は内容もシーンもドロドロ過ぎて映画評論家の間ではマユをひそめられたそうですが、今では暴力カルト映画として一定の評価があり、熱狂的な信者もたくさんいます。 血気盛んな若者がこの映画を見ると、主人公トニーモンタナをダーティーヒーローとして崇拝し、「歪んだ強い男像」を抱いてしまう危険性もありますが、その一方で人生を生き抜く「勇気」や力の世界で生き残るには「タフネス」が必要であることを教えてくれます。 暗黒街で生きる男の孤独な情熱が描かれた魅力的な「男の映画」です。